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機械式立体駐車場の安全対策の取組み

  • 2015年11月5日
  • 読了時間: 7分

更新日:3月21日

公益社団法人立体駐車場工業会は、約3年前から安全性の向上を目指した活動を展開しています。

平成24年4月に大阪府茨木市、同年7月岩手県花巻市で発生した重大事故を受けた本会の安全性向上の取組みは、国土交通省とも連携した対応で、更には消費者庁の調査報告書に対する取組みともなり、業界の存立を問われるほどのものとなりました。

この機会にこれまでの活動を振り返り、今後の新たな取組みへの一助となるべく安全性向上の取組みを紹介いたします。



1.これまでに発生した事故について


平成19年から平成26年に発生した重傷以上の事故発生状況は下表のとおりです。


事故発生状況

平成24年は、前述の茨木・花巻の事故の他、エレベータ方式での挟まれによる事故を含み、特に死亡事故の多い年となっています。

この年の事故発生を機に、上記重大事故だけではなく、これまでに報告があった事故のうち、利用者に関係する事故全般について改めて内容を確認・分析する等、新たな安全性向上の活動を開始しました。


2.本会内部での安全対策初期の取組み


⑴安全向上推進委員会及び安全向上推進特別委員会について 平成24年6月から、本会の常設委員会(運営評議会・技術委員会・安全管理委員会・広報委員会)の正副委員長が出席して、安全向上推進委員会を発足させました。

本委員会では、短期的に対応すべき事項、具体的には、前述の茨木市、花巻市での重大事故に対する対策を検討しました。

その対策を同年8月にまとめ、会員に周知するとともに、国土交通省へも報告・協議を行いました。その内容は、下記2点の改定が主なものです。

①昇降・ピット式駐車装置

新設装置では、駐車場三方をフェンスで囲み、乗込み面はこれまでのチェーンを廃止し、前面ゲートを設けること。 既設の駐車場についても上記前面ゲートを基本とするが、設置が困難な場合は「侵入検知センサー」を設置すること。

②エレベータ方式駐車装置

新設駐車装置では、これまでの各種センサーに加え、「人感センサー」を設置すること。 既設駐車装置についても同様の対応をすること。 以上の内容で技術基準等を改定し、会員へ周知するとともに、ホームページにも掲載しました。


機械式立 体駐車場での事故にご注意ください

上記の技術基準の改定、周知にあたっては、国土交通省・消費者庁連名で「機械式立体駐車場での事故にご注意ください!(再周知)」の文書及び注意喚起のチラシをリリースするともに、国土交通省からはマンション管理及び駐車場等関係諸法人、団体へ「機械式駐車場利用にあたっての注意喚起について」の要請等の支援をしていただきました。

平成24年11月からは、新たに安全向上推進特別委員会を発足させました。


本委員会は、これまでの委員会活動をさらに充実させるため、外部の有識者にも出席してもらい、多角的視点から事故分析を行い、中・長期的観点から今後の取組みを検討しました。

本委員会は、平成25年3月末まで精力的に活動し、『機械式駐車装置の安全に関する標準化に取組むこと』を確認、新しい活動ステージへ向かうこととしました。



3.機械式駐車装置の「安全要求事項の標準化」への取組み


⑴標準化合同専門部会の活動開始

平成25年7月から、技術委員会及び安全管理会委員を主メンバーとして標準化合同専門部会を設置しました。

ここでは、これまでに発生した機械式立体駐車場での事故(利用者の事故に限らず、管理者や保守点検業者の事故を含む)及び想定される危険事象を抽出して、機械安全の考え方に基づく「リスクアセスメント」を実施しました。

その後、「リスク低減方策」「安全方策」を検討する等、月2回、1回あたり4~5時間をかけて白熱した議論を行いました。同年11月からは、ワーキンググループの各社選抜委員も出席し、平成26年末まで28回に及ぶ会議を開催しました。本会議のために各委員が費やした時間は約150時間/人、会議出席のための事前・事後の作業時間は会議に要した時間の2倍~3倍の時間を費やしており、膨大な活動時間を提供していただきました。(参加者は、合同専門部会8名、ワーキンググループ委員10名の18名です。)

平成26年1月からは、上記標準化活動に加え、「施工・保守作業安全」に関する標準化活動も開始しました。これは主に、機械式駐車場における「労働災害」の防止を主眼としたものですが、装置の設計段階から要求すべき項目については、機械安全標準化部会へフィードバックし、駐車装置の安全要求事項として基準・規格へ反映しました。(平成27年3月末まで活動)

これらの活動で実施した「リスクアセスメント」(リスクの評価、低減を含む)項目は約740項目にのぼり、その結果をベースとして、以下の基準が生まれました。

① 新大臣認定制度に伴う「登録認証機関」としての「認証基準(案)」 ②本会の「機械式立体駐車場技術基準 2015年版(案)」 ③日本工業規格(JIS)の素案


機械式駐車装置の安全機能に関する認証基準
認証基準と技術基準2015年版


⑵標準化検討委員会について


平成26年9月から「標準化検討委員会」を設置、開催しました。 本委員会は、座長に向殿政男(明治大学)名誉教授、委員には下記の各氏に出席いただきました。

①池田 博康 (労働安全衛生総合研究所上席研究員) ②小松原明哲 (早稲田大学理工学術院教授) ③ 高木 堯男 (日本建築設備・昇降機センター認定・評価委員) ④船見 国男 (千葉工業大学工学部教授)

ここでは、将来的なJIS規格化を見据え、機械安全の国際規格に基づき、実際の利用環境や人の行動特性に留意しつつ、技術基準として要求すべき事項の適切性、要求水準の妥当性等について多角的、専門的見地から検証してもらうこととしたものです。

本活動は、国土交通省の「機械式駐車装置安全基準ワーキンググループ」の活動とも歩調を合わせ、合計4回の会議を開催し平成27年1月に閉会しました。

⑶JIS原案作成委員会(含む、JIS原案作成分科会)について

平成26年11月の「JIS原案作成公募」へ応募、認可された「機械式駐車設備の安全規格・JIS原案作成委員会」を平成27年4月から開催しています。一般社団法人全日本駐車協会の黒田専務理事にも使用者代表の一人としてご出席いただき、現在も審議継続中です。

平成24年の重大事故を契機とした本会の安全性向上の取組みですが、これまでの機械式駐車場技術基準(本会作成)は、国際的な機械安全の原則に準拠したものとはなっていないことから、体系的見直しを行うとともに、国の安全基準への反映を意図した新たな段階へと入りました。

これは機械式駐車場業界にとっては、大きな意義ある取組みであると考えています。4月に第1回の委員会、10月のはじめに第2回の委員会を開催し、JISの原案の輪郭が見えてきた段階ですが、これからが正念場です。

各社の技術部門の中核者が頻繁に会合を持って精力的に取組んでいますが、これから来年の2月までの間が、特に厳しい日々であると予想しています。 しかし、何としても達成しなければならない命題だと考えています。


4.終わりにあたって


本会は昭和40年11月に「社団法人立体駐車場工業会」として設立されてから、今年で50周年という節目の年を迎えることになりました。

この50年間の本会活動において、特に「安全・信頼」は時代・環境の大きなうねり、変化の中でも常に大きな課題として位置付けてまいりました。

その活動を技術的側面から見ると、前述のJIS規格化はこれまでにない大きな転機であり、当面の大きな課題と言えます。

もう一つの大きな課題が、平成26年3月及び10月に国土交通省から発出された「安全対策ガイドライン」への対応です。

関係主体である製造者・保守点検事業者、設置者、管理者、利用者が如何に協議できるか。そのために製造者の団体である本会がどのような行動、働きかけをすれば「協議の場」形成に結びつくのか、大きな課題と考えています。

先ずは駐車装置の安全性の向上が第一義ですが、その駐車装置を管理、利用する方々と一体となった取組みが不可欠であることはガイドラインで強く求められているところです。

標準化検討委員会の様子
標準化検討委員会の様子

そのためには、多くの関係する方々に接し、お互いの置かれている環境を理解し、関係主体間の理解を促進することが肝要であると考えています。

今後とも、利用者の安全を第一に、機械式駐車装置が「安全で信頼性が高く、そして、とても便利なものである」。

そのような存在に位置付られますように、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

昨年の機械式駐車場の安全装置、利用の実態調査のアンケートに際しましては、駐車協会の会員の皆様にも全面的にご協力をいただきました。


遅くなりましたが、本紙面をお借りして厚くお礼申し上げます。


ありがとうございました。


 
 

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