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第53回通常総会見学会参加レポート

  • 2014年8月6日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月21日


有限会社香花園パーキング 代表取締役 稲益 一郎



はじめに


九州の久留米市に住む私にとって、全日本駐車協会の通常総会と見学会に参加することは協会の方々と旧交を温め、丹念に企画・立案された見学先の見聞を広める絶好の機会であり、年間で最も楽しみとする行事の一つです。今年の総会は6月11日(水)に日本工業倶楽部会館で開催されました。今年度は役員改選があり、髙木丈太郎会長が相談役に退かれ、新たに髙木茂氏が会長に就任されました。他に6名の理事と1名の監事が選任されました。


総会終了後、独立行政法人土木研究所研究調整監塚田幸広氏による「ITによる先進的モビリティの潮流」と題する基調講演がありました。当地の久留米市では中心市街地にあった百貨店の跡地が再開発中であり、中心市街地の駐車場環境整備が喫緊の課題になっておりますので、時宜にあった講演を興味深く拝聴しました。大変有意義な講演会であり、全日本駐車協会のご尽力に感謝いたします。総会及び講演終了後、意見交換会があり、全国の駐車場業界関係の皆様と名刺を交換し親しく言葉を交わす機会を得ました。誌面を借りて厚く御礼申し上げます。



6月12日(木)


全国各地からの参加者41名による2日間の見学会が実施されました。当日は朝から小雨模様でしたが、前日総会が開催された日本工業倶楽部会館前に集合し、午前9時に出発。ベテランガイドの説明を聞きながらバスに揺られること2時間30分。バスは最初の訪問地高崎市に到着。11時30分には早くも昼食タイムとなりました。地元の有名茶屋「登利平」にて郷土名産の鳥料理を頂いた後、真言宗豊山派の古刹である観音山清水寺に到着。初夏の新緑生い茂る中を滝のような汗をかきながら山門までたどり付きました。山門の舞台からの眺望は上州平野が遠くまで広がり九州にはない絶景でした。


清水寺見学風景
清水寺見学風景

上州平野を一望
上州平野を一望

14時にIHIエアロスペース富岡事業所に到着。工場の航空写真を見ると工場内構造物のレイアウトがロケットのようになっていました。会議室で説明を受け、2班に分かれて工場内を見学しました。場内は意外に静寂が保たれており必要最小限の音が響いていました。 有名なペンシルロケットを製造する際に使った工作機械が現役で活躍しており、この先何年活躍するのかと思いました。

IHIエアロスペース研修風景
IHIエアロスペース研修風景

富岡事業所は日本を代表するロケット飛翔体の総合メーカーとして科学観測や実用衛星打ち上げ用ロケットの開発を行い、各種ロケット弾システム及び誘導弾ロケットモーターを開発生産し、日本の宇宙開発及び防衛の一翼を担っている事業所であります。随所に先端技術が活かされているとのことでしたが、特にロケット飛翔体の噴射口上部の絞ったところは重要な部位で、この部分に高圧と高熱(3000度)が加わるため、この部品は炭素繊維を長時間焼いて成型されるとのことです。日本の近代産業は生糸に始まり、現代の先端産業も繊維に依っているとは驚きでありました。


16時にIHIエアロスペース富岡事業所を後にして妙義山方面に向かいました。途中、間近に迫る妙義山は、赤城山、榛名山と共に上州三山の一つに数えられる金鶏山・金洞山・白雲山の総称で、奇岩と怪岩で名高いとのことです。本日はその麓にある妙義山グリーンホテルに宿泊します。到着後、部屋からは妙義山と裾野のゴルフ場の芝生が見事なコントラストで初夏の光景を楽しむことができました。夕刻からの意見交換会は郷土料理と地酒に舌鼓を打ちながら大いに盛り上がりました。

ホテルから妙義山を望む
ホテルから妙義山を望む


6月13日(金)


朝食後8時30分に出発。妙義山は国定公園に指定され四季折々にその景勝を眺めることができます。妙義神社はその主峰白雲山の東山麓に鎮座し、古来信仰の拠り所として崇められており、江戸時代には歴代将軍を始め、加賀の前田家等諸大名の崇敬を集めたと伝わっています。いよいよ参詣。眼前の石段を見上げその上の山門をみながら、「あの山門まで登るのですね」と尋ねると「あそこからですよ」と言われ、血の気が引きました。案の定、正に息を切らしつつ腰を支えてもらいながらやっとの思いで階段を登り切りました。国指定重要文化財の本殿と唐門を拝観し、格別の計らいで由緒ある御殿にて宮司から説明を受けることができました。御殿からの眺めは裾野に広がる全景を一望にでき、この地の由来が分かる気がしました。霊験あらたかな御札と「難を転ずる」南天の箸を買いました。


10時45分、富岡製糸場に到着。ユネスコ世界文化遺産登録が目前に迫り、見学者で溢れていました。正門を入ると明治5年と刻された製糸場の建物を眼前にし、味のあるボランティアガイドの解説を聞きながら場内を見学しました。この冬の豪雪で倒壊した建物も見受けられましたが、場内で最も新しい大正時代の建物がいち早く倒れてしまったそうです。


完成時は当時の世界最大の製糸場の2倍の規模を誇り、32歳のフランス人技師を政府の最高位である太政大臣(月給800円)と遜色のない月給(諸手当込750円)で雇ったというから驚きでしたが、医療設備、女工の福利厚生などにも配慮されていたと聞き、日本の近代産業の黎明期の意気込みが伝わってきました。製糸場内の解説パネルには富岡製糸場に関わった渋沢栄一、中上川彦次郎、益田孝など明治草創期から近代資本主義に貢献した人物が並んでおり、「さもありなん」という感じでした。官営製糸場、三井銀行部、原合名会社、片倉工業と時代の変遷の中でその役割を終えた建物と設備が創建当時のままに存在するのは奇跡ともいえますが、同時に関係者の見識に感服しました。


妙義神社の石段を見上げる
妙義神社の石段を見上げる
妙義神社本殿
妙義神社本殿
富岡製糸場2到着する一行
富岡製糸場2到着する一行
富岡製糸場見学風景
富岡製糸場見学風景

見学を終え、旧国鉄信越線「横川」駅で創業した老舗「おぎのや」で峠の釜めしの昼食。製糸場周辺を散策しながら、絹のように滑らかなソフトクリームに満足しました。


帰途につき14時20分に高崎駅で一次解散。バスに残る参加者は半数となり東京駅前に向かいます。今回の見学会は日本の近代産業が現代に至るまで「繊維」で紡がれ、夫々の時代の来し方を未来に繋ぐことに思いを馳せながら、日程を終えました。


祝・世界遺産決定


「富岡製糸場と絹産業遺産群」は6月21日、カタールのドーハで開かれた第38回ユネスコ世界遺産委員会において世界文化遺産に登録されることが決定しました。国内の世界遺産は18件目で、昨年度の総会見学会の見学先「三保松原」を含む富士山の登録に続き、2年連続の登録決定となりました。(広報委員会)


 
 

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